「ねえ、赤ちゃん欲しいな」

爆弾発言、だと思う。
僕は最近わかってきた自身の魅力を最大限に生かしながらそう言ってのけた。
新聞を読んでいたミシェルは一瞬、無表情で固まったがすぐ元に戻り一ページめくる。
「ねえミシェル、赤ちゃん──」
「子供が何を言っている」
子供、子供ときたか
15歳は子供なのだろうか?ミシェルにしたらまだまだ子供かもしれないけど現実では十分大人扱いを受けてもいいはずだ。
「僕もう子供じゃないけど」
「子供は皆そう言う」
大人独特の嫌な切り返しだった。

「...その子供と毎晩セックスしてるくせに」

次はミシェルが黙り込む番だ。
「昨日は自分のモノまでしゃぶらせたクセに?」
「──お前は男だろう」
そうきたか。
「男でも、子供を作れる身体だよ」
「男は妊娠しない。そういう身体であってもな」
そうミシェルは強めに言って話は終わりだというふうに新聞を置いて僕達がいるテラスから出ていった。

──

鏡の中の自分は美しいと思う。
色の濃いストレートの金髪も紫の瞳も、そこら辺の人間よりかははるかに美しい。
「ねえ僕、赤ちゃん欲しいね」
お腹にそっと手をやる。男だけど妊娠できる、ミシェル以外は受け付けれない、ミシェルに孕まされたい。
淡い熱が、背筋を通る。
だめだめ一人でするなんてつまらないよ。
...赤ちゃん、欲しいな


「赤ちゃん欲しい」
「ダメだ」
「ねえミシェル!」
「静かに」
全く話すら聞いてくれない。
爪を噛みそうになる、だけど行儀が悪いからやらない。

「──そんなに女になりたいのか?」

やっと、目を合わせて貰ったと思ったらミシェルはそんな事を言った。
「女の子に、なりたいって訳じゃないけど」
「だが女のように犯され孕まされたいんだろう?」
たしかに、そうだけど
黙りこくった僕を見てミシェルは軽薄に笑った。
「──なら女にしてやる」
「え?」


「ねぇやだ!ミシェルやだ!」
「騒ぐな」
僕は寝室で着替えさせられていた。
真っ白なシルクのシンプルなワンピースを無理やり着せられる。
「ほら、脱ぐぞ」
「いやっ!」
下着を脱がされミシェルが手に持っている女性用の下着を履かせられそうになる。
恥ずかしくてなんとか逃げようとするけど追い詰められた僕は無駄だった。
「──1週間、女として行動できたら考えてやらんこともないぞ?」
「...ほんとうに?」
女装して暮らすのは屈辱だけど、それで赤ちゃんが出来るのなら....
「どうする?」
悪魔のように、ミシェルは笑った。

──

「ひぃッ、っ、ああぁ!」
「どうした?もっと腰を振れ」
「いゃぁ、んん、あんっ!」
恥ずかしい、恥ずかしい!
僕はダイニングルームで犯されていた。
女の子の格好をさせられ女の子のような行動をするよう言われるのはなかなかに苦痛だけど赤ちゃんの為だからしょうがない。
──だけど、どうしてこんなことに

「水色も似合うな」
「...そう」
グラデーションがかかった水色のふりふりなワンピースに白のストッキングと首元にはリボン、そして頭はポニーテールにリボン。まるっきり女の子の恰好だ。
「...ああ、そういえばちゃんと付けてるかチェックしなくては」
「えっ、ちょ!?」
上品に開いた胸元に手を差し込まれ胸をまさぐられる。周りには使用人がいるのにミシェルは気にせずそんなことをする。
「下着もちゃんとつけてるな」
ニヤリと笑う。
僕は下着までも女の子にされブラをつけさせられている。胸がないのに無意味だと思うけどそれをこぼした所、メイドにおこられてしまった。
「ではレディユリシア、エスコートをさせて貰おう」
「...ん」
エスコートされるのは好きだけどレディと呼ばれるのは複雑。
僕はミシェルの手を取ってダイニングルームへ向かったのだ。

「ほら、ケーキをもっと食べなさい」
「もう…おなか一杯だよ」
「女の子は甘いものは別腹だと聞いていたのだがな」
意地悪、意地悪だ。
クリームがいっぱい乗ったショートケーキは一切れでおなか一杯になってしまった。
朝食だというのに僕の前にはスクランンブルエッグとクロワッサン、たっぷりのフルーツと様々なケーキにマカロンにスコーンにエッグタルト、ほかにもいっぱい甘いもの。普段のベーコンやソーセージ、ポテトに生ハムやチーズなどといったものは一切なかった。
その代わりにあったのは甘くてふわふわしたものだけ。朝からこんなもの食べたくない。
「――おなかがいっぱいなら一緒に紅茶を飲もう。こっちに来なさい」
僕は呼ばれるままミシェルの側に行き膝の上に乗せられた。


「どうだ今日の茶葉の味は?」
「お、おいしけど…ッん!」
「どうした、体調が悪いのか?」
意地悪でいやらしい男を睨みつける。
その不埒な手は僕の太ももの内側をスカートに隠れて撫でていた。周りにいる使用人たちはまだ気づいてないが気づかれるのも時間の問題だ。
「もう一杯、飲むか?」
「も、もういいから…!」
身体に広がっていく微熱は僕を確実に蝕んでいく。毎晩犯されている身体はこの先の快楽を知っているのだ。
「ね、お願いミシェル…!」
「我儘なお姫様だ」
深く、ため息をつかれる。
僕を所謂お姫様抱っこをしてバルコニーの近くのソファに寝かせたミシェルは使用人たちに出ていくように指示をした。
寝室に連れていかれるわけじゃないのか、もしかして――!
「嫌だよ…ミシェル」
「私に孕まされたいのだろう?精一杯欲しがれ」
これからどうなってしまうのか、僕は淫らな期待で一杯になってしまった。


「ココに恥毛がないのはやはり体質の関係なのか?」
「ひッ、やぁッ!」
「もっと見せろ」
まじまじと朝の日差しのもとで女の子の恥ずかしいトコロをじっくりと観察される。15にもなって恥毛が生えていないソコをじっくりみられて恥ずかしくて死にそうなのと羞恥からの快楽でどうにかなりそう。
ナカを指で広げられ観察される。
「…厭らしいな」
「うぅ…」
自分でもどんな状態になっているのか嫌でもわかる。ワンピースをえっちなので濡らして前も勃たせている。後孔もひくひくと蠢いてしまっているのがわかって身体はもうどろどろだった。
「外は初々しい桜色なのに中は真っ赤だぞ?それに厭らしい汁を垂らしながらもっととねだってくる」
「言わないで…ぁッ!」
「欲しいか?」
欲しい。奥まで暴かれたい。
「…ほしいよぉ、ミシェル…」
「どこに?」
「お、女の子のところ…」
はやく、はやく。
「…自分で足をもて」
「うん…」
恥ずかしいけどこれをすれば大きいのを貰える。背徳感か、それともその先の快楽にか喉がゴクリとなる。
物欲しげにしているであろう僕の顔を見て嘲笑を浮かべる彼。
僕は恥ずかしいのにそれが心地よかった。
「んッ、ぅん、あ、んぁー…」
「挿れただけでイくんじゃない淫乱」
お尻をぺシリと叩かれそれすら気持ちよくて震える。
ナカに熱くて大きいのが入ってくる。
もっと僕に溺れてほしくて意図的に腰を揺らすとミシェルは怒ったように深く突いてくる。
「あぁ、あんッ、んッ、はぁッ」
奥を、暴かれる。
女の子の入っちゃいけないトコロの入り口をとんとんと突かれると気持ちよくて堪らない。
「ほら、こっちも触ってやる」
後孔に愛液が纏った指がいきなり二本もゆっくりはいってくる。すでに知り尽くした気持ちのいいところを、二本の指で潰したり挟んだりして虐める。
僕は前と後ろの刺激にどうしようもなくて何度もイってしまう。
「胸は触らなくていいのか?」
「あぁッ、さわるぅっ、気持ちよく、して、ひゃぁッ!」
「生憎両手がふさがってるからな、自分で弄れ」
なら、聞いてこないでよ――!なんて思いながらミシェルの提案は僕にとって最高の快楽だった。
いつも焦らしてくるミシェルと違って自分で好きな分だけ弄っていいんだと許しを貰えた僕は足を落とさないように気を付けて胸を弄る。
「はぁッ、あんッ、あッ、やぁッ」
気持ちよすぎて、気が狂いそうになる。
あとはミシェルが女の子のナカに出してくれれば――
「ひぁッ…?」
「こっちに出すと子供ができてしまうからな」
いきなり、抜かれてしまう。
「ぇ、やッ、ああッ!」
そしてすっかり慣らされた後孔へゆっくり挿入される。
喪失感で女の子のトコロが喘いでるのも束の間に後孔の圧迫でお腹が苦しくなる。
僕はその快楽に涎を垂らしながらみっともない顔をして喘いだ。


                   ――

「なんで、ダメなの?」
「まだ子供だからだ」
その夜、ベットの中で珍しく何もせず僕たちは話していた。
「もう子供じゃないってば」
「まだ子供だ。子供が子供を作るな」
「…ミシェルは大人なんだからいいでしょ」
僕がたとえミシェルから見て子供でもミシェルは大人なんだからどうにかしてくれるはず
「…私もまだ子供だ」
「そうなの?」
意外な、答えにびっくりした。
「まだユリシアと子供を作る心の準備ができてない」
それを聞いて、少し悲しくなる。
「僕との赤ちゃん、嫌なの?」
「そういうわけじゃない。ただ、どうやって育てていくか、どのくらい構えばいいのか、ほかにもたくさん…何も考えていないし私とお前は結婚すらしていない」
「そっか、結婚しないと子供は作っちゃダメだもんね」
そうだったのか、ミシェルはすごく考えが深い。
僕が浅すぎるせいかもしれないけど。
でも、結婚できる日は来るのかな
そう考えるとまた暗くなってしまう。
「…何を考えてるか手に取るようにわかるが、安心しろ。お前がもう少し成長したらそれなりのことはするつもりだ」
そしてミシェルは続けた。
「なら楽しみにしているね」
「そうしてろ」
ふふっと僕が笑うとミシェルも柔く微笑んだ。
珍しいその表情に僕は愛しさがこみあげてミシェルの頬にキスをたくさんしてあげる。
「そもそもお前が12の時に手を出した瞬間から私は生涯世話を見る覚悟だからな」
「そうなの?」
世話を見る、そんな言葉がこの時の僕はどれだけミシェルにとって重い言葉かわかりもしなかった。
ただ、幸せで笑っていたのだ。

「ねぇ、先に子供の名前を考えようよ!」
「…姦しいな」

そんな、15歳の思い出
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