「可哀想に、よっぽどつらかったんだね」

真っ赤な顔に散る涙、そしてかみ締められて腫れぼったくなってる唇。
寝室に連れてこられた僕、そしてお兄様。
一人だけ大きな寝台に寝かされまだびくびくと体を震わすお兄様の瞳は虚ろだ。
そんなお兄様の頬を優しくお父様は撫でた。

「おとう、さま…やめて…」
「すぐ楽にしてあげよう」

お兄様の言葉など無視して服を脱がし始めるお父様。
僕も負けじとお兄様のズボン、そして下着を脱がすと――

「…お父様、悪趣味すぎ」

お兄様の性器の根元には真っ赤なリボンが縛られていた。
初めて見るお兄様の裸は僕をドキドキさせるけどそれよりその淫らな様に目が行ってしまう。
髪の毛と同じ銀色でうっすらと生えている恥毛に使ったことなどない可愛い桜色の男性器。
根元を縛られ可哀想なぐらい汁を垂らしながら男を誘う香りを放っていた。

「ほどいてもいい?」
「好きにすればいい」

お兄様が可哀想なので僕はリボンをほどくと

「わっ!」

僕は突然の顔面にかかる液体にびっくりする。
…泣くような声を上げてお兄様は達してしまった。
僕の顔に顔射してしまったとわかるとぼろぼろと涙を流しながら僕に許しを請う。
ペロリと口の端についたその精液を舐めてみると甘くて濃い味がした。
…おいしい。
そうしてぼくが顔中の精液を舐めているとお兄様は激しく泣いてしまう。
そんな様子も可愛いな、と思う。

「――レオナルト、そんなことで遊んでいないではやくヴァレンを助けてあげなさい」

そう叱咤する声を聴いてしょうがないな、と思いながら顔の精液をぬぐった。
お父様は僕のその様子に満足するとお兄様の長くて真っ白な細い足を開いて赤子がおしめを変えるように持ち上げる。
またお兄様のいやいやという声は聞こえるがそれは無視だ。

「もっと、見たいところがあるだろう?」

その、お父様の悪魔のささやきに僕はニヤリと笑った。
お兄様の白くて男にしては肉付きが良い臀部をぐい、と割り開くと――

「…ほんと、淫乱な兄さん」

厭らしい桜色をした肉孔がヒクヒクと蠢いていた。
すでに男を欲しがっているみたいだ。息をふーっと吹きかけると可愛くきゅうきゅうと収縮した。
これで、男を知らないだなんて信じられない。
僕は半信半疑な気持ちと興奮を抑えきれない気持ちで肉孔の周りを恐る恐るなぞるように触るとお兄様は臀部を誘うように振って僕から逃げようとする…無駄なのに。
ゆっくり、一本の指をその厭らしい孔に少しづつ入れてみる。

「…なんで濡れてるの」

ぐちゅ、とした熱ととろりとした液体。
僕はお父様に嘘をつかれたと思って不機嫌になりながら乱暴に指を奥まで挿入した。そうするとお兄様は孔を締めながら嬌声をあげる。

「こらこら、ヴァレンが痛がってるよ」
「善がってるの間違いでしょうお父様」
「まだ処女なんだ。優しくしてあげなさい」

――嘘つき、と僕が言うと「嘘じゃないよ」とお父様は言う。

「ちょっとした遊びでね。ヴァレンの孔に媚薬入りのローションを入れてみたんだが…晩餐の時間を我慢することはできなかったらしい」

…だとしたらお兄様はかなり可哀想だ。
熱いぬるぬるとした肉孔の中で僕は一本の指をぐじゅぐじゅと動かす。そうすると可愛く可哀想にお兄様は啼いた。
でも、本当にそれだけでお兄様が男を受け入れたことのない身体ならお父様にこれ以上遊ばれる前に僕が奪ってあげなくては。

「ほら、ヴァレンが苦しそうだ。もっと与えてあげなさい」
「はい、お父様」

いうことを聞くのは癪に障るが、しょうがない。
僕は二本目の指を入れようとしたが、ちょっとした出来心でいきなり三本一気に突き入れた。

「ひぃぁっ!?」

その衝撃でお兄様は背を反らしながらまたイってしまった。
本当に、淫乱だなぁ……
肉孔はキツく僕の指を貪る。熱くてとろけていて…僕は早く突っ込みたくてしょうがない。
よし、僕は優しいからお兄様のイイトコロをたくさん虐めてあげよう。それに…お父様という邪魔ものさえいなければこれは僕たちの初夜なのだし…
お兄様のイイトコロを探そうと三本の指をバラバラにして動かしているとお兄様は「い、イったばかりだからっ、あぁッ、やぁッ、ああッ!」なんて掠れ掠れに喘ぎながらまたイってしまった。
そして奥のある場所をやっと僕は見つけた。
最初にそのしこりに無遠慮に触れたらお兄様は悲鳴をあげたので次は優しくマッサージするように押してみると気持ちのいいはずなのにまた悲鳴を上げながら泣き出してしまった。
もしかしてもどかしいのかな、と思ってきつく三本の指で押してみたり挟んでみたりしたら力が入っていた身体はへにゃりとしてお兄様は失神してしまった。
さすがに心配になって指を抜いてお兄様の頬を撫でるが起きてくれる気配はない。
…大丈夫かな?
どうしていいかわからなくてお父様を見るとお父様は抑えつけていたお兄様の足を壊れ物を扱うようにベットの上に降ろした。

「ヴァレンは疲れちゃったみたいだね…今日はここまでにしとこうか」

それは提案に見せかけた強制である。僕は悔しいけどお兄様の身体を考えるとしょうがなくて額にキスをしてお兄様から離れた。

「…お父様、お兄様にどこまでしたの?」
「少し淫らな遊びを教えてあげただけさ」

これが少し、なのか。
気になっていた質問に僕は胡散臭さを感じながらお父様を睨みつけた。
というより自身の熱をはやく解放したくて部屋から出ていきたかったというのもある。

「こら、自分だけ満足して終わりかい?」
「満足なんか――!」

ベットから降りようとした僕をお父様は強い力で押し倒した。
上に覆いかぶさるお父様を僕はジロリと睨んだ。

「…なに?」
「――私も満たされようと思ってね」

その男らしくも貴族的な指先が僕の首筋を撫でた。
嫌な予感が、する。
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