黒い礼服、色鮮やかなドレス、煌びやかなシャンデリア、湯気を立てるご馳走。
まるで、天国か地獄だな…と俺は思う。
まあ俺として後者で新年だというのにしょっぱなから家で堅苦しくパーティーである。
挨拶回りもほどほどに周りで騒いでる友人を端にワインをグイっと飲み干す。
グラスとシャンデリアの光で目がチカチカとする。ああ、なぜ新年そうそうこんなめんどくさい事を。
「―シュウナ様、顔色が…」
「あぁ、少し気分がすぐれない」
クリスマス、大晦日、そして新年と続くお祭り騒ぎに伴うパーティーであまり体調は優れない。
貧血気味のところに脂っこい肉やら酒やらをつっこんでいるので気分が悪いのだ。
「というわけで俺は少々休ませてもらうよ友人たちよ」
芝居がかかった俺の言葉に友人たちは様々な反応を見せたがかまわず居室にもどろうとしたのだった。

遠く、騒ぎ声が聞こえる広間をあとにして廊下を歩いていく。
片方の壁はガラス張りの戸で月明かりが綺麗に青く清廉に入ってくる。もう片方はぼんやりとオレンジ色の光と赤い壁が赤く重々しく厳然に在った。

『―朱と蒼 混ざり合うのは――』

頭痛がひどくなっていく。
ついに俺はその場に座り込んでしまった。
「ッぅ、いたッ…」
体が熱でも出てるように異常な寒気に襲われる。
フーフーフーと息が荒くなっていく。
苦しいのにもどかしくて寒いのに熱くて走り出したい衝動。
引き寄せられるようにガラス扉から外をみると月とは違う、白色の光がぼんやりと発光してる。
「あ、あぁ…」
―行かなくてはいけない。
俺があそこに行かなくちゃ・・・
苦しいからだはその発行してるところに近づくたびに軽く熱くなっていく。
そこには何もないところに浮くように扉があった。
この時の俺は何も考えれなくて理性なんて飛んでしまっていたのだ。

―扉を開き、中に吸い込まれていく

俺の記憶はそこでブラックアウトした。
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