湯に入れられあとはお好きにとエリクティウナとやらは去っていった。

「はぁ?……」

疲れた。
目が覚めたら男に犯されまた目が覚めたら…しかも意味のわからん『勇者』とやらになっているし
湯船には透明なお湯がたっぷり張っており自分の身体が透けて見えた。元の世界にいた頃なら自身の肉体美を誇っていたところだが今ではただの性欲処理の肉体…うんざりする。
というかこのままいくと今夜、意識がある状態で『魔王様』に抱かれるのか…?

「うぅー……!」

考えたくない考えたくない。
理解できない世界は無理に理解などしないほうがいい…そう、誰かが言ってたのを思い出した。
…少しだけ、少しだけ眠ろう。あまりに嫌な情報が多すぎてパンクしそうだ。
「家に…帰りたい…」
あんなにめんどくさかったパーティーでさえも愛しい。
家に、帰りたい。


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「ッ、んッ、んんんッ」
異常な、息苦しさで目が覚めた。
息が、できない
「ぶはッ!」
一気に入ってきた酸素で呼吸がうまくできなくて咳き込む。
何事かと自分の頭を湯船に押さえつけていた手の方向を見ると…昨晩俺を犯した男、朱と蒼の瞳の魔王がいた。

「我を待たず悠々と寝ているなど…随分舐められたものだ」

そう言いながらも残酷なほど無表情なその顔は美しかった。

「今回の勇者は少しは期待できると思ったが、甘やかしすぎたものだな」

歌うように、魔王は続けた。

「これならば地下牢にでも繋いで魔獣に犯させれば良かった…我としたことがとんだ失策だ」

ま、魔獣…!?
想像としてはとんでもなくグロテスクなものしか浮かんでこない。
それに犯させるとこの魔王は言った

「…おや、随分怯えた目をしているな『勇者』?」
「怯えてなんか、ない。」

本当は体も震えてるし心も潰れそうになっている。だけど、認めるのは癪に障る。

「…やはりお前の声はいい声だ。昨晩散々喘いでいた時から声と見た目は気に入っているぞ?」

そう言いながら魔王の手が俺の髪を握り…抜けるかと思うぐらい引っ張った。

「ぃぁ、痛いッ!」
「ああ綺麗な金色だ…お前はこの髪がもっと伸びるまで生かしてやろう。そうして殺したお前の髪で刺繍したマントでもつくろうか…」

こいつ、とんでもない変態サド野郎だ。

「紫の瞳はくり抜いて部屋に飾ろう。白い肌は本の装丁にしようか、そう考えるとお前を汚らしい魔獣に汚させるのは良い考えではないのか…」

無表情でとんでもなく饒舌、そして変態サドバイオレンス野郎。
見た目は美しいがこの男の中身はブラックホールのようだ。

「…死ね、変態野郎」
「お前に我は殺せぬぞ愚かな勇者よ?」

魔王が、苛ついたのがわかった。
一瞬で周囲は殺気で支配された。

「そこまで痛みが欲しいというのなら存分に可愛がってやろう…」
「なにをッ…!」

魔王は俺の身体をいとも簡単にバスルームの床に投げ出す。痛みで俺が呻いていると強引に足を開かせる。

「やめ、やめろッ!」
「嫌だ、といったらどうする?」

無理やり開かれた足の間の外気に晒されている自分の萎えた性器を見て魔王は薄く微笑んだ。

「可愛いものこそ虐める価値がある…あながち間違いでもないな」

魔王は俺の体をひっくり返し残酷な事を言う。

「我の機嫌を損ねて魔獣の餌になるか、従順に従い快楽を得るか…どちらがいい?」

俺に、媚びろというのかこいつは
だけど圧倒的に力では叶わないのはわかっていて抵抗すればするほどこの男のサドな部分を刺激することもわかっている。
――なら

「従順にする…」
「物分りがよくてつまらんな」

…なんで
魔王は指を鳴らしパチンというその音が鳴り響いた瞬間、俺の体はあのクソ吸血鬼の時みたいに自由に動かなくなった。

「ほれ、足を開いて誘ってみろ」

勝手に足を立て恥ずかしいトコロが全て魔王に見えてしまう体勢になる。
そして、手が勝手に俺の性器に…

「んッ、んッ、ぁっ」

こんなことをしたくないのに恥ずかしくて惨めで死にたくて涙がどぼどぼと溢れていく。

「やぁ、見ないでっ、あぁっ」

自分でも知らないくらい両手は淫らな動きをして一番キモチいいトコロを刺激してたまらなく背筋が震える。

「アナルもひくひくと蠢いているぞ?昨晩までは何も知らぬ処女穴だったのにとんだ淫乱なものだ」

その視線から逃れようとしてもわずかに動ける体はまるで誘ってるみたいに臀部を動かすだけでなんの抵抗にもならない。

「はぁっ、ん、あっ、いやぁっ」

なにこれ、こんな自分の手で気持ちよくなれるなんて……

「あ、ぁ、あぁぁ…」

あっけなくイってしまった。
快感に震えている身体に冷たい魔王の手が触れる。

「さあ、従順な勇者には少しの快楽を与えてやった。今度は我を楽しませろよ?」

臀部を二つの手が開き、恥ずかしいソコをまじまじと見つめられる。
そして慣らしてもいないのに魔王の熱い性器がグイっと入り込んできた。

「いだぁっ、やめろっ、いやっ、ああああっ!」

痛い、侵入してくる異物をだそうとソコは締まるのに魔王は無慈悲に暴いていく。
俺がいくら喚いても叫んでも魔王は止めることなくナカを突く。
どのくらいの時間が経っただろう、俺はぼろぼろになりながら魔王の精を受け止めた。

「これからも楽しませろ、『勇者』?」

魔王はそう告げて去っていった。
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