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「白薔薇、なんてキザすぎる?」
陛下の寝室に小さなテーブルを花瓶とともに構築して先ほど積んできた薔薇をこんもりと生ける。
こんな立派な城をつくったのだから庭も整備してみようと先ほど庭園を三つほど作ってきたところだ。そのうちのひとつの薔薇庭園から陛下っぽい感じの花をとってきた。本当に薔薇かどうかはわからない。

「…それはラナンキュラスだ」
「まじで?」

ラナンキュラスがなんだかは知らないが薔薇ではないらしい。適当に世界のデータベースから引っ張って作っていたのでこんなことになってしまった。
俺が薔薇庭園だと思ってたのはラナンキュラスとやら庭園なのかもしれない。
やばい、めんどくさがりやの完璧主義としては冷や汗ものだ。

「どうしよう陛下俺の薔薇庭園がラナンキュラス庭園に!」
「…花の区別もつかないとは、異界の魔術師は愚かだな」

ひと晩たって頭が回るようになったのか俺の正体に感づいたらしい。へっぽこだけどほかは賢い、いい子だ。しかし減らず口が復活してしまったのは惜しい、あの怯えた陛下可愛かったのに。

「じゃーさ、どうせ陛下暇なんだから俺の作った庭園でも見てきてよ。変なところあったら教えて」
「…ああ」

隠してるつもりだろうけど微笑んでるのがわかるよ陛下。
俺から逃げれると思ってるんだろう、馬鹿なへっぽこ陛下だな。ね、フェール?


すっかり夕方になりここら辺一体は濃い霧がおおう。
へっぽこ陛下は庭園に出かけたまま帰ってこない。共有感覚はめんどくさくてわざと切ってるので陛下がどうしてるとかはまったくわからない。
俺は異世界の小説をだらだら読みながらカウチで寝ていた。

「あー…平和だなぁ」

わざとらしく声に出してみるが自身の気持ちは偽れなかった。
…陛下、なにしてんだろ
折角の可愛い獲物に怪我でもされたらかなわない。
―俺は陛下を探すことに決めたのだ。

共有感覚をたどっていくとかなり奥深いところまで陛下は行ってしまってるらしい。この空間自体周りと同調してるけど無限回路だってことを陛下はしらないので必死に逃げ出そうとしてこうなるのもわかる。
俺はいつもどおり転移して、今回は陛下の少し後ろに転移してみて脅かしてみた。

「へーいかっ!」
「―ぎゃっ!!」

可愛くない悲鳴だ。せめて『ひゃあっ!』みたいのが欲しかった。
「なにしてんの、こんな奥深くで」
「な、なにもしてなどいないが!?」
笑いをこらえるのに俺は必死だった。陛下、嘘つくの下手すぎる。
すっかり乱れてしまった金色の髪が汗ばんだ陛下の額にくっついていた。それを見て俺は普段なら人に膝まづかれて汗水たらすようなことをしたことないような陛下がこんなに必死になってるのがおかしくてしょうがない。
「もう夜だし風呂入ろう?」
「あ、あぁ…」
名残惜しそうに庭園のどこにも繋がってない道をみながら陛下はいともたやすく俺の腕の中に戻ってきてしまった。


昨日と同じく陛下の体を洗い湯船にいれる。一日中迷って疲れたのか陛下はこんな俺と一緒にいるのにリラックス中。ほんと警戒心が薄すぎる。
今日は俺も風呂に入る。湯船の向かい側に浸かりながら寝てしまいそうな陛下を見ていた。

―あ?ほんと顔だけは美人

白に近い金髪に妖艶さを感じる紫色の瞳。顔は王子様みたいなのにどこかあどけなくて多分陛下は18くらいかなと思うけどもっと幼く見える。
体も綺麗だし…ホント、欲情する。
性格がクソ悪くても顔と体がよければいいのだ、男の性です。それに意外と鍛えられている身体をしているから後ろの締まりもよさそうだしなぁ?
…うん、今日犯しちゃおう!
俺は突如雷のごとき最高の思いつきが降ってきたのを感謝し、陛下をぶち犯すことにきめたのだ。

「陛下、眠いならベットいかなくちゃ」
「う…ん」

へっぽこ陛下は手を引かれるとすぐについてきた。
裸の陛下を適当にごしごし拭いてベットに寝かせる。よほど疲れてたのか今にも眠ってしまいそうだ。

「疲れに効くお薬、ちゃんと飲んでね」

脳内でろでろになっちゃう薬を口に持っていくと疑うことなく陛下はごくごくと飲む。

段々と媚薬の効果でムズムズと体がしてきたのか浅く息を吐く陛下を見て俺は悪人らしく笑った
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