「あぁん、はぁ、んん」
「そうそう、もっと頑張ってね」
陛下は自分の慎ましやかだったピンク色の乳首を充血させながら両手の指先で弄っていた。
俺の陛下のアナルに埋め込まれた指がイイところを掠めるたびに一際高い嬌声をあげる。
普段の俺なら処女の美人をとって食えるということで大興奮だが、それ以上に己の信条に関わる大変なことがあるかもしれないと内心冷や汗だった。

―陛下、処女じゃなくないか!?

はじめにあまりに簡単に、まあきつかったけど、普段受け入れているように指がアナルに入ってしまったことに俺は絶叫したくなった。そう、俺は処女厨なのだ。
そしてこの感じよう、素質じゃなくてもう培われてきた経験だ。
なぜ、だれが、どうして!?
興奮してる陛下を言葉責めするも俺自身は萎え萎えである。俺にも俺の信念がある、陛下が…この陛下が処女じゃないんなら根掘り葉掘りすべて解明するまで抱くわけには行かない!

俺は陛下のアナルから指を抜いた。ちゅぽっと水音を響かせながら抜いたのが処女のアナルだったらいいのだがこの男は非処女である。
なぜ、というとろんとした顔で陛下がこちらを見るも一気に萎えている俺は術をつかって薬の効果を打ち消す。瞬間、陛下は正気に戻りこれまで以上に爆発してしまうんじゃないかというぐらい真っ赤になり体をシーツで隠した。

「―このっ、強姦魔が死ねっ!!」

なんて言いながら手元の枕を投げつけてくるが傷心の俺には象に小石だ。

「―陛下…初めてじゃなかったんですね」

「…うるさい!」

そんな、泣きそうな顔で睨みつけられて怒鳴られてもこっちが泣きたい。誘拐してきた美人の陛下が男慣れしてるとかどういう事態だよ。

俺はトボトボと術を使うわけでもなく地下の自分の部屋に戻ったのだった。
その時、陛下が何を思っているかなんて考えもせずに


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「はぁ…最悪な世界だ」
ベットに寝そべり脱力したまま誰に言うわけでもなく呟く。
「陛下ぁ…」
あの、処女陛下(だと思ってた)は戻ってこないのだ。
その真実に俺は愕然とした。いくら超天才魔術師である俺にも変えられないものがある、それは時間で過去に遡ることも未来へ行くこともできやしない。そう考えるとなぜ俺は魔術師なんて虚しいモノなのか問いかけたくなる。
その日の俺はまさに地獄の最底辺にいるような気持ちで寝付いたのだった。
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