「やめッ、やめろッ!」
「やめませんよだって―とっても甘い匂いがするんですもん」
なにが、もん、だ…!
「さすがさすがの勇者。忌々しい神の加護もちはいいエサです」
「この変態ッ、なにをッ」
「知ってますか、人間の血って快楽に達しているときが一番美味しいんですよ?」
そう言って笑った口の中から見えたのは鋭い牙
まさか―
「おまえ、吸血鬼とかいうんじゃないだろうなッ!?」
「ご名答、今回の勇者は理解が早くて助かります」
そんな生き物が野放しにいるのかこの国は…!
「そんな勇者なら非力な人間の力では逃げれないって知ってますよね?」
「しるかそんなことッ!」
「あははは諦め悪いですね…手こずるなァ!」

そして、男がボソボソと何かを呟いた瞬間体が縛り付けられたように動かなくなる

「初めて見ました?呪術ってやつですよ、かるーい拘束術をかけてみました。まあ縄で縛られている位の強さなので結構自由ですよ」

確かに体は固まっているというよりは縛られていて動けない、という風で動かそうと思えばすこしはピクピクとうごかせる。そして術がかかってるのは体だけらしく首から上は自由に動く。

「お、あの気色の悪い側近も気がききますね。アナルにまで回復術をかけとくなんて変態的というか気色が悪いというか…」
「やめろッ…この変態!」
「魔王様が使ったあとじゃがばがばですからねまったくもう」

男の指が外側を楽しむように皺の一本一本を確かめるように触っていく。あまりの気持ち悪さに背筋が震える。

「この…クソ吸血鬼が!」
「あはは怯えてる」

同じ男(人外)に犯される、そのことに抵抗したいのにできなくて絶望が襲って来る。
もっと罵ってやりたいのに恐怖が先に来るのだ。

「もうちょっと足広げてくださいよ」

その言葉と同時に先言っていた呪術、のせいで今でもМ字開脚なんていう姿勢だったのがもっと足を開かれる。
指が、ツプリとナカに入ってきて、無遠慮にかき回す。
―気持ち悪い、気持ち悪い、

「ちょっと厳しいかなァ、もうここまでする魔人なんて僕ぐらいなんですから感謝してくださいね」
「おまえッ…まさか」

男の顔がソコに近づき舌と思われる濡れた感触がナカに入ってくる。
最初は浅く動き回り次第に奥を濡らしていく

「んッ、やめ…!」

クチュクチュと音を立て暴かれちゃいけないところを開かれていく感覚に涙目になってしまう。
抗いたくても抗えない淡い熱がじりじりと腹の奥から登ってくる。
唾液がどろりと濡らしていく、だんだん頭が麻痺していく。

「ん、ぷぁッ…このぐらいでいいか」
「ぁ…」

いきなりの喪失感に声が漏れてしまう自分を殺したい。

「じゃあとっとと勇者の血、飲ませてもらいますよ」

男のでかすぎる性器がぴたりとあてがわれる。
ナカに入ってこようとしたそのとき――

「そこまでだ変態吸血鬼」
「…あーあ、ほんと犬くんは鼻が強いこと」

焼けた肌にがっしりした体躯、精悍といったほうがいい顔立ちの男がクソ吸血鬼の首に銀色の刃をかざしていた

「ソレ・・は魔王様の所有物。いくら高位のお前とて手を出すことは不敬となるぞ」
「あはは真面目ですね!そういう犬くんもこの色香にあてられちゃってぐちゃぐちゃにしてやりたいんじゃないの?」
そういってクソ吸血鬼が謎の男の、股間部分を人差し指でなぞる
それを一瞥した謎の男は瞬間、吸血鬼の首に刃を喰い込ませた
普通の人間なら痛みと恐怖で転がりまわってるところを血をだらだら流しながらクソ吸血鬼は笑っている。
「はいはい、やめますよ。君と毎日殺し合ってるから貧血の吸血鬼なんて不名誉なあだ名がつけられてるんだよ?僕の血を労わって欲しいよねまったく」

「とっとと失せろ吸血鬼」

「はいはーい」

幻のように、クソ吸血鬼は霞になって消えてしまった。
それと同時に呪術も解かれたのか体が自由になる。
俺は急いで嫌すぎる姿勢から直る。

「…おい、勇者。自惚れるなよ」
「は?」
「お前の色香になど消して屈したりはせぬ。屈するのはあの変態吸血鬼か低位魔人か魔族くらいだ」
結構いるな、と思う。
「私も魔王様もお前を道具として使うだけだ」
そこで俺はカチンときてしまった。
いきなり変なところに連れてかれて犯され性欲処理だと言われまた犯され(未遂)その次には覚えのない罵倒である。
「あのクソ吸血鬼もお前も一体なんなんだッ、男を犯すなんてお前らの方がどうかしてるぞッ!?」

「フン、男だろうが女だろうがお前は神の加護をもつ勇者だ。嫌でも魔人は引き寄せられる。」
「神の加護…?」
「余計なことは知らないでいい」
何様なんだこの男は。
何も教えないところはあのクソ吸血鬼の方が良かったかもしれないと思うほどだ。

「…だから、お前を犯すのもただの自慰であって別に性交ではないのだ」

そういって、クソ吸血鬼よろしく俺を押し倒した謎の男は瞳をギラギラさせながら食いついてきた。
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